私たちのどこでもファームは、夏野菜の収穫を終え、秋野菜の準備に入っています。
 この間に、少し閑話を楽しみましょう。

 イギリスの歴史家エリック・ホブズボームの「20世紀の歴史 極端な時代」によると、20世紀は、19世紀のブルジョワ文明を解体し、ヨーロッパ中心社会から「新しい海図」を必要とする社会になったとしている。

 ホブズボームは、20世紀を三つに分けている。

(Ⅰ)カタストロフィの時代(1914~1945)-第一次~第二次世界大戦
(Ⅱ)黄金の時代(1945~1973)-冷戦の始まり、第三世界の経済成長
(Ⅲ)危機の時代(1974~)-ソ連の崩壊、過熱する資本主義

 ホブズボームは、マルクスもケインズもいない現代を新しい展望が見えない時代とし、これからの世紀を展望する思想家がいないことを悲しんでいる。

 こうした流れから判断すると、フランシス・フクヤマが『ナショナル・インタレスト』誌に発表した「歴史の終わり」で、民主主義・資本主義が勝利を収めることで、あらゆる国が市場経済化し、自由・民主主義へ移行し、社会制度の発展が終わるとしたことは誤りである。
 サミュエル・P・ハンティントンは、「支配的な文明は、人類の政治の形態を決定するが、持続しない」、つまり「歴史は終わらない」と主張した。『文明の衝突』に詳しい。

 つまり何かが終われば何かが始まる。何がどう始まるかが重要である。
 こうした混迷時代に、私たちは「新しい公共」、「新しい分配システム」のあり方を発見せねばならないのではないかと考える。
 都市の新しい公共の一つとして、どこでもファームを育てたいのである。
 秋深しです。緑耕雨読とどんどん本を読みましょう。